ビジネスの関係性を把握する「engagement(エンゲージメント)」 エンゲージメント作りは経営理念が鍵!!

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エンゲージメントとは

エンゲージメントという言葉は、マーケティングの用語としてビジネス界で使われるようになりました。

 

「engagement(エンゲージメント)」は直訳すると

  • (会合などの)約束
  • 契約
  • 債務
  • 婚約
  • 雇用

という意味があります。

 

マーケティングの用語で使われるエンゲージメントは、お客様と企業の商品・サービスとの結びつきであり、親密さ・共感性を示す指標です。

 

SNSが普及したことで、企業は容易に顧客との親密さ、共感性示すエンゲージメントが測れるようになりました。

それは、TwitterやInstagram・Facebook上での反応(いいね!・リツイート・シェアなど)がエンゲージメント指標として活用ができ、企業のマーケティングとして重要な情報源として浸透してきているからです。

 

つまり私たちは、日常的に誰かのエンゲージメント指標に何らかの影響を与えていることになります。

 

これまで、企業と顧客の関係性を示す言葉としては次のような言葉で表されていました。

①お客様:店舗に来店する不特定多数の方

購入する意識はあるが名乗らず問い合せをする段階の人

②顧客様:自社の商品やサービス(接客)に満足し、商品の購入やサービスを利用した人

     顧客カード(顧客台帳)に氏名や連絡先が明記され、人物が特定される人

③ファン:自社の商品やサービス(接客)に満足し、商品の購入やサービスを繰り返し利用してくれる人

      自社に何かあった時に真っ先に応援してくださる人

 

 このようなお客様層に分かれる要因は、企業のお客様に対する接し方にあります。

 

お客様に接する「接客研修」では、「CSを高めましょう」「顧客満足を高める取り組みをしましょう」と声高に言われています。

 

CSとは、「Customer Satisfaction(顧客満足)」の略です。

 

たしかに、不特定多数のお客様が、自社の商品サービスに満足し、企業に氏名を登録する顧客様になるには、社員の顧客満足を意識した行動が重要です。

 

しかし、残念なことにこの顧客様は非常に移り気な方々で、例えば他で10円安いお店があればそこに移動し、新しい商品が発売されれば、そのお店に行くというような行動をとります。

 

つまり顧客満足を高め、顧客様を沢山獲得したからと言って、企業は決して安心できない状況です。

 

企業として獲得数を増やしたいのは、ファン層のお客様です。

 

顧客様からファンになるには、企業を信頼してもらうこと、「Customer Loyalty(顧客信頼)」を獲得する行動が重要です。

 

Loyalty(ロイヤリティ)は忠誠心という意味があります。

 

お客様が企業に忠誠を誓う。

 

「あの商品なら間違いがない」

「あのサービスなら必ず使わないと…」

 

企業の商品、サービスに対してお客様が絶対的な信頼を寄せている状況を意味します。

 

このお客様層の変化をマーケティングでは顧客が企業やブランドに抱く「信頼」や「愛着」の度合いとして見ます。

 

これまでは、お客様の「信頼」や「愛着」の度合いは、お客様の増減、来店回数など図るか、店舗アンケートなどで図ってきました。

 

しかしSNSが普及しTwitterやInstagram・Facebookで企業がさまざまな情報を発信することで、サービス開始前のお客様の反応や、タイムリーな意見を簡単に収集することが出来できます。

 

これまでのように、マーケティングにコストがかかる時代ではなくなりました。

小さな会社でも手軽に自社の商品・サービスについての反応を簡単に入手することができるのです。

 

そのお客様の反応を示す指標が「エンゲージメント」になります。

 

近年では、顧客と企業の結びつきだけでなく、企業内の組織としての結びつきを示す「組織エンゲージメント」や企業と社員の結びつきを示す「従業員エンゲージメント」という取り組みも増えてきています。

 

今回は、経営全体の視点からエンゲージメントの重要性をお話します。

 

エンゲージメントの重要性

企業は事業を行う上で、さまざまな人たちと結びついています。

 

  • 商品・サービスを考え提供してくれる社員・パート・アルバイトなど社内で働く人。
  • 商品・サービスが提供できるように協力してくれる取引先。
  • 商品・サービスを購入して、事業継続を支えてくれるお客様。

この企業を取り巻く全ての人たちにエンゲージメントが存在します。

 

全ての関係者に共有するエンゲージメントは「約束」です。

社内で働く人には、継続的に仕事を与え給与を支払う約束(雇用契約)をしています。

取引先には商品・サービスに欠かせない、モノや情報・人材を提供することを依頼し、その対価として費用を支払うことを約束(取引契約)しています。

お客様には商品・サービスの品質の保証を約束しています。

 

この約束をどのように維持し、相手の期待以上に行動で示すかによって、企業を取り巻く人たちとの関わりが変わってくるのです。

 

エンゲージメントをイメージする代表企業と言えば、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドです。

東京ディズニーランドは常に来場者をワクワクさせ、来場者の期待を裏切らないサービス提供をしています。

それゆえ、多くのファンに支えられ常に右肩上がりの事業経営を行っています。

 

それは東京ディズニーランドほど大きな企業だからできると思われますか…?

 

みなさんの身近な企業にも同様の企業が沢山あるのではないでしょうか…?

 

例えば、神奈川県にある「さくら住宅」という地域のリフォーム会社があります。

この会社は、工事をしたお客様に株主になってもらう「お客様株主制度」を設けたり、会社に人が集まるようなコミュニティを社内に設けるなど、お客様との繋がり方に徹底しています。それにより高いリピート率を保っています。

 

さくら住宅は2016年にテレビ番組で取り上げられていて、私はその番組を見ていました。

その時、当時のリピート率は80%と話していました。

 

リピート率について、番組内で次のように話されていました。

「お客様からは、網戸を変えるとか電球の交換とか、家のちょっとした困りごとのご依頼が多いです。それを快く引き受け30分以内に担当が駆け付け解決することで地域の皆様に信頼を頂いてます。そして、リフォームや新築のお話があればお客様からお声がかかります。」

このような取り組みを地道に行ってきたことが18年連続で黒字を達成しているとも話していました。

 

このように地域の小さな会社でも、お客様との繋がり、約束を守る姿勢がお客様のファン化に繋がっています。

 

さくら住宅さんは「リフォームを通じて、社会のお役に立つ会社になる」という経営理念を掲げ、全社員一丸となってこの理念を実現しています。

 

正にエンゲージメントを意識し、経営の中に取り入れている企業といえるでしょう。

 

これまでは商品・サービスの利用状況は来店数であったり、利用率であったり、企業が定めた数字に対する達成率などで測ってきました。

しかし、2000年代初め、企業の食品偽装や、製品偽装などによるリコールが多発し、お客様はこれまでのように単純に企業の話を信じることができなくなりました。

加えてインターネットが普及し、お客様はさまざまなメディアから情報を入手することができ、企業の話を鵜呑みしなくなりました。

このような時代背景もあり、お客様は単に商品・サービスだけでは購入行動を取らなくなりました。

特に類似商品・サービスがあるのであれば、その商品・サービスを提供している企業の経営に対する姿勢や、信用度を重視するようになってきています。

小さな会社は、このお客様から選ばれている理由を把握し、その理由を戦略的に活用していくことが重要になります。

 

現代では、低コストで簡単にお客様の反応やお客様の意見を入手する方法があります。

あなたの会社はどのような方々と繋がっていますか?

その繋がりを支えている「約束」の存在を自覚していますか?

「約束」をどのような形で果たしていますか?

 

あなたは会社のエンゲージメントを把握していますか?

もし把握していないのであれば、経営にとって大きな損失を生んでいるかもしれません…

 

エンゲージメントの高め方

エンゲージメントは、企業を取り巻くさまざまな人たちの繋がりや約束を意味します。

この繋がりを大切にし、約束を守る努力をした結果にお客様は信頼を寄せ、企業に「愛着」を感じて下さいます。

 

このことは2015年以降の消費行動の変化にも表されています。

お客様は商品を購入する際、単純な広告から購入するよりも、「自分の体が求めている情報であるかどうか」、「自分の消費行動を周囲の人が共感してくれる内容かどうか」を重要視して、商品・サービスの購入をするようになりました。

 

このような消費行動を「DECAX(デキャックス)」といいます。

 

1.Discovery(発見)

2.Engage(関係)

3.Check(確認)

4.Action(行動)

5.eXperience(体験共有)

 

このような行動に当てはめて企業活動を行うことが、エンゲージメントを高める要素になります。

 

消費行動を「DECAX」を行う前に、次の2点について整理をしておく必要があります。

 

自社の強みや特徴を明確にする

お客様に自社のことを知ってもらうには、経営者や社員が自社のことを分わかって

いなければ、お客様には伝えられません。

まずは、自社理解ができていることが大前提です。

お伝えしたいお客様を明確にする

お客様に自社のことをお知らせする方法として、安価で即着手できる方法は

SNSの活用でしょう。

しかし、SNSを利用する方は10代~50代の方が多く、60代以上の方は、SNSよりも紙媒体の方が情報をキャッチしやすい傾向があります。

つまり、あなたの会社の商品・サービスを利用する方の年齢や職業などによって活用する情報媒体が違います。

この点を考慮して、知ってもらう活動をしないと結果が伴いません。

知って欲しいお客様を特定することも重要な要素です。

 

その上で消費行動を「DECAX」に取り組んでいきます。

 

1.Discovery(発見)

お客様が有益な商品・サービスを扱っている情報(コンテンツなど)を発見することです。

インターネットの普及により、お客様は企業側から発信される情報を見るだけでなく、自ら必要な情報を探すようになっています。情報が溢れる中で、お客様が自ら必要な情報だけを探し発見していきます。

お客様のこのような消費行動から、企業も単なる商品案内だけでなく、お客様に「発見」してもらえる工夫が重要です。

例えばSNSをよく利用する世代のお客様をお相手にする企業は、InstagramやYouTubeなど、さまざまなコンテンツ配信を工夫します。

SNSを利用しない世代のお客様とお付き合いをする企業であれば、フリーペーパーや新聞などの折り込みチラシやポスティング、路上でのチラシ配布などで発見してもらう工夫と努力が必要なのです。

 

2.Engage(関係)

お客様が情報を発信している企業と関係を深めることです。例えば企業が情報を発信しているSNS(TwitterやInstagram・Facebook)などに「いいね」をしたり、シェアをするなどの反応をすることです。

また、企業のメールマガジンに登録したり、イベントに参加したり、お客様自ら企業との関係を深める状況です。

関係が深まることでSNSを利用するお客様であれば、自ら商品・サービスの感想やイベントの告知などのメッセージを発信してくれます。

SNSを利用しないお客様でも、周囲のお友達に口コミを広げてくれます。

企業はこのようにお客様とエンゲージが作れる環境を用意することが重要なのです。

SNSであれば、お客様自ら情報を発信したり、コメントを寄せることは簡単にできます。

SNSを利用しないお客様の場合は、利用アンケートを書いて頂きお客さまの声を集めるとか、店舗内にお客様が情報発信できる掲示板を作り、自由にメッセージを書いて頂くとか、口コミをしてもらいやすいように、チラシや割引券をお渡しするなど、関係づくりの工夫が必要です。

 

3.Check(確認)

お客様が情報を発信している企業の商品・サービスを確認することです。

お客様と企業のEngageが深まることで、お客様は本当にその情報が有益なものなのか確認をします。例えば、経営理念を実現するための取り組みとして、商品・サービスの提供をしていると情報発信していても、他のお客様の評価が良くなかったり、発信している情報に矛盾がある等、信頼に値しない情報が出てきたら、お客様はアッという間に企業から離れていきます。

反面、他のお客様からの評価が高いとか、お客様が信頼している商品・サービスに偽りがないと確認してもらえたのであれば、エンゲージメントは更に高まります。

このようなお客様の消費行動を理解し、企業は情報発信する内容をよく吟味する必要があるのです。

 

4.Action(行動)

お客様が商品・サービスに対して「購入する」または「しない」などのアクションをすることです。

お客様と企業の間でエンゲージメントが高まり、お客様が確認した商品は自分にとって価値あるもの(必要なもの)だと判断したら「商品を買う」という行動を取ります。

反面、思った通りではなかった、予想を裏切られたと感じた場合は、企業に対する批判(マイナスの口コミ)として拡散する等の行動を取ります。

お客様と企業のエンゲージメントが高まれば高まった分だけ、その思いを裏切られたと感じた時の反動行動は強くなります。

当たり前のことですが、企業はお客様の信頼を裏切らないよう、日々の事業運営に取り組んでいくことが重要です。

 

5.eXperience(体験共有)

エンゲージメントを最も高めることは、お客様自身に企業の商品・サービスを体験してもらうことです。

企業はお客様とのエンゲージメントを高めるためにも、お客様と関われるイベントを企画していくと良いです。

そして、その体験をお客様ご自身でお友達やお知り合いに情報発信(体験共有)できるような仕掛けをします。

最近の飲食店では、料理を見映え良くする「インスタ映え」席を作ったり、洋品店では試着室を「インスタ映え」するような飾りにするなど、お客様から情報発信できるような取り組みをしています。

このようなお客様自身の情報発信により、企業と新しいお客様とのエンゲージメントがスタートするのです。

 

企業とお客様のエンゲージメントを高める最大のPointは、あなたの商品・サービスを使ってくれるお客様を特定することと、そのお客様の消費行動を理解して、お客様と信頼関係を作る努力をしていくことです。

 

特に発信している情報に嘘や偽り・矛盾が生じれば、お客様と企業とのエンゲージメントは、あっという間になくなります。

 

経営者は、このことを意識しながら、事業に取り組む姿勢も重要と言えるでしょう。

 

まとめ

エンゲージメントは、お客様と企業の商品・サービスとの結びつきであり、親密さ・共感性を示す指標です。

その結びつきであり、共感し信頼を寄せる要素として、経営理念の存在が欠かせません。

お客様は自分が利用する商品・サービスがどのように開発されたのか、どのような思いを込めて取り組んでいるのかを、とても知りたいと考えます。

お客様が企業の思いを知る最大の情報とは「経営理念」です。

この経営理念と事業活動が一致しているか否かで、お客様の企業選択が始まっています。

 

既に経営理念をお持ちの企業は、改めて経営理念と事業活動が言行一致しているか確認をしてみましょう。

まだ経営理念をお持ちでない企業は、早めに経営理念の作成に取り組んで下さい。

 

経営理念は、お客様とエンゲージメントを高めるためには欠かせないものです。

もし自社の経営理念が上手くまとまらないという方は、01組織クラウドで経営理念の作成もお手伝いしています。

経営理念で自社の思いをお客様に伝え、お客様とのエンゲージメントを高めていきましょう。