トランジション 会社の転機や社員の転機の捉え方

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トランジションとは?

Transition(トランジション)とは、遷移(移り変わること)という意味があります。

テレビや映画などの場面転換、コンピューターで画像と画像を切り替える手法、ボールを使うスポーツなどでボールの保有チームが切り替わる時などに使われる言葉です。

人の一生においても場面転換(転機)が訪れます。

例えば

  • 就職をする
  • 新しい場所へ引っ越す
  • 部署が変わり仕事が変わる(転職する)
  • 一般社員から役職に変わる
  • 好きな人にフラれる(離婚する)など…


このような場面転換(転機)をトランジションと言います。

トランジションが起きた時に、スムーズにその状況を受け入れ順応できる人もいれば、心理的にマイナスの影響を受け、思うように行動ができなくなる人もいます。

トランジションにおいて心の揺れ動きがあった時、どのように捉え、どう対処するかという考え方にトランジション理論があります。

トランジション理論の2大提唱者

Nancy K.Schlossberg(ナンシー・K・シュロスバーグ)

アメリカのキャリア発達の研究者です。

キャリアとは人の経験を意味します。

Nancy K.Schlossberg(ナンシー・K・シュロスバーグ)は、私が取得しているキャリアカウンセラーの教本でも理論が紹介されている、有名な研究者です。

人は一定の年齢や発達の段階において、共通する出来事や課題に遭遇します。

これが人のトランジション(転機)です。

人はトランジションによって、新たな課題や出来事を経験し、更なる成長(キャリア発達)をしていきます。

シュロスバーグは、トランジションは一定の年齢や発達の段階で起きるのではなく、人生はトランジションが連続的に起き、トランジションは2つに分けられると考えました。

2種類のトランジション

1.イベント型

  トランジションが起こることです。

  例えば

予期したことが起こる(就職・転職・結婚・出産など)

予期しなかったことが起こること(死別・病気・失業など)

2.ノンイベント型

トランジションが起こらなかったことです。

例えば、

予期していたことが起こらないこと(昇進できない・結婚できないなど)

シュロスバーグは、トランジションに直面すると、日常生活、自己概念(考え方)や役割、人間関係のどれか、または、全てに変化が生じると考えました。

このトランジションの乗り越え方を、次のように述べています。

トランジション(転機)の乗り越え方

1.転機を見定める

今起きている自分のトランジションを客観的に認識し、どのような変化が起きるのか(起きているのか)見定めます。

2.リソース(資源)の点検

転機を乗り越える資源4Sを点検します。

 ①Situation(状況)

今の状況を分析します。

例えば

  • 原因は何か?
  • 予期できたことか、否か?
  • 状況をどのように捉え、受け止めているか?
  • これは好機なのか、危機なのか?

②Self(自己)

今の自分は、このトランジションによって生じる変化に、どのようにしようとしているのかを考えます。

自分の性格や価値観などを整理し、自分について分析します。

③Support(支援)

トランジションによって起きた変化について、自分以外に支援してくれる人は誰かを考えます。

例えば

  • 家族や友人、知人などから必要な援助は受けられるのか?
  • 自分の成功を期待し励ましてくれる人はいるのか?
  • 地域や専門機関など経済的支援や、重要な情報を提供してくれる外的リソースは何か?

支援を考えるには、事前に自分の強みや弱み、価値観などSelf(自己)の整理をしておくとよいでしょう。

④Strategy(戦略)

トランジションは突発的に起きることも多いです。その時に闇雲に対処するのではなく、対処に関する基本方針を立てます。

 

3.対処する

これまでトランジションについて、分析・整理してきたことをどのように対処するか決めて実行します。

シュロスバーグは、人生でトランジションは連続的に起き、そこで生じる変化が人のキャリア(経験)に大きな影響を与えると考えました。

シュロスバーグは、ビジネス的な視点というより、一個人のキャリア支援で用いられる考え方です。

William Bridges(ウィリアム・ブリッジス)

アメリカの心理学者です。

『トランジションー人生の転機を活かすためにー』

の著者でもあります。

ブリッジスは、トランジションのプロセスを3つの段階に分けて考えました。

トランジションのプロセスを3つの段階

1.終わり

これまで取り組んできたことが終わることで生じるトランジションです。

自分の意志で終わらせることもあれば、外部環境により強制的に終了させられる時もあります。

例えば学生から社会人になる時などのトランジションです。

終わったことで、未知のことにワクワクするポジティブな感情が芽生える人がいます。

反面、「学生を終えたくない」「このままでいたい」と思う人もいます。

これまで大事にしてきたことがなくなる気持ち(喪失感)・後悔・悲しみ・怒りなど、ネガティブな感情が伴い、心理的なダメージを感じる人がいます。

ブリッジスはこのネガティブな感情を抱く人に注目しています。

2.中立圏(ニュートラル・ゾーン)

「終わり」から「始まり」に移行する段階のことです。

この段階では、「変わりたい」と「このままでいたい」という両極の感情に揺れ動いたり、過去にこだわり、現在の状況が受け入れがたいというさまざまな葛藤が起こる時でもあります。

この時の対処によって、次の「始まり」に移行する上で、最も重要な時期でもあります。 

3.始まり

これまでにない新しいことが始まります。

中立圏(ニュートラル・ゾーン)で生じた葛藤に決着をつけ、過去と決別し、真の意味で「新しい始まり」を受け入れるポジティブな状態になる人がいます。

反面、新たなことの始まりによって、内的な抵抗が生まれ、ネガティブな状態になる人もいます。

例えば新入社員で、新しい仕事になかなか馴染めないというのは、これまで慣れていた安全な環境から未知の不安定な環境で働く不安や恐怖心からきているといえるでしょう。

ブリッジスは、「終わり」⇒「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」⇒「始まり」という3つの段階でトランジションが生まれ、それに伴い人はネガティブな感情を抱くことを述べています。

「個人の成長は、不安経験をよりポジティブな要素に変化させる点から始まる」と考え、新たな経験をする段階に向けて準備の大切さを伝えています。

トランジションをデザインする

これまでのトランジションは、個人的な視点において、いつどのようにトランジションは発生し、どのように対処するかという説明をしました。

ここからはトランジションを経営戦略の視点としてお話をします。

経営計画としてのトランジション

トランジションについては、ほとんどの場合、社員の個人的な出来事として捉え、どのように支援をするか、成長させるかというキャリアコンサルティングの視点で活用されています。

しかし、小さな会社の経営者は経営戦略的な視点で、自社が今直面しているトランジションは、果たして好機なのか危機なのかを見極め、今後の経営成長に向けた新たなビジネスモデルの構築という視点でも活用できます。

経営でトランジションの対処法を考えるのであればシュロスバーグの理論が役に立ちます。

特に、トランジションの乗り越え方のステップや、自分の資源を点検する4Sの点検は対処法として有効です。 

また、今回のトランジションは、イベントが起きたからなのか、起きなかったからなのかという視点で分析することでも、対処法が異なります。

予期せぬトランジションは対処法が必要ですが、経営戦略として、意図的にトランジションを起こし、経営拡大を目指すこともできます。

経営者であれば、受け身的なトランジションではなく、自ら未来を描いて実現できるようデザインしていきましょう。

社員のトランジション

従来のトランジション対応は、社員の能力開発支援として、キャリアコンサルティングの手法として使っています。

大きな会社では意図的にトランジションを起こし、社員を成長させる機会として活用します。社員のキャリア(経験)を意図的に行えるように、人事計画に基づいて行われる戦略的人事異動のことを「ジョブローテーション」といいます。 

例えば、これまで事務職で仕事をしていた人を、営業部へ配属させ、説明力や交渉力を身につけさせ、新たな企業を獲得する人材として育てるというものです。

このような人材育成は小さな会社でも行えます。

但し、小さな会社が人材育成の一環としてトランジションを活用するのであれば、次の3つのことを準備しておきましょう。

①社員に対してトランジションの目的を説明する

②トランジションの開始日、実施期間を明らかにする

③トランジション後の成果をどのように図るかを伝える。
 

小さな会社では特定の部署はなく、仕事の量もさほど多くはない会社も多いと思います。

しかし、小さな会社でも自社の仕事の特徴を整理すれば「営業」「事務」などの異なる能力を使う仕事は存在するはずです。

そこで、事務だから営業はさせない会社と、事務だけど事務なりにお客様にPRして仕事をしてもらえる会社とでは収益に差が生じます。

小さな会社は少ない人数で多様な仕事をすることが必要になります。

今まで身につけていない能力を身につけさせるきっかけとして経営者が意図的にトランジションを起こし、新たな能力開発をしていきます。

社員のトランジションをデザインする場合も、社内のKGI(Key Goal Indicator)重要目標達成指標・KPI(Key Performance Indicator)重要(主要)業績評価指標・KFS(Key Factor for Success)重要な成功要因最重要プロセスを明確に示し、社員自身が、いつまでに、何を、どのようにするのかを明確に示します。

仕事の手順や留意事項が確認できるマニュアルやワークフローも準備しておくとよいでしょう。

社員の能力が伴わず、高すぎるKGIでは社員の意欲が削がれます。

KGI・KPI・KFSは社員の現状の能力と、今後身につけて欲しい能力とを考慮して、トランジションをデザインします。

トランジションのメリット 

トランジションは経営戦略として、経営拡大の取り組みや、社員の人材育成の機会として活用できます。

小さな会社でもトランジションを活用すると、社員が対応できる仕事の幅を増やすことができます。

少人数で多様な能力を身につけて欲しいと考えるのであれば、トランジションを用いて人材育成を行うとよいでしょう。

この場合は、3つの事前取り組みを行い、社員にポジティブな感情で取り組ませることが大切です。

トランジションのデメリット

経営側が社員の成長を目的に、意図的にトランジションを行った時、社員から拒絶反応が出る場合があります。

トランジションを活用するのであれば、3つの準備を忘れずに行います。

事前準備をして社員に説明しても、社員がトランジションを受け入れない事もあります。

このような時は、William Bridges(ウィリアム・ブリッジス)のトランジット理論を活用しましょう。

社員は「終わり」⇒「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」⇒「始まり」という3つの段階によって、ネガティブな感情を抱き、会社の予想している通りの反応を示さないことがあります。

そこで、「終わり」⇒「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」⇒「始まり」という3つの段階に分け、社員はどの段階でどのような感情を抱き、行動ができなくなっているのかという分析を行います。

例えば、「終わり」の段階でネガティブな感情を抱いているのであれば、それは未知のことに対する不安から来ています。

不安を払拭するためには、新しい仕事の内容や取り組み方、その後の結果が分かるように明示しておくとよいでしょう。

「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」の段階は、葛藤に決着がつけられたか、否かで対処が変わります。

自分の葛藤に決着がつけられたのであれば、それは不安が払拭され、ポジティブな状況になったと判断ができます。

スムーズに「始まり」に移行できるように、今後どのようなことが起きるのか、今何をしておくことがよいのかを理解させ、ポジティブな状況で新たなトランジションを迎えさせます。

もし、「中立圏(ニュートラル・ゾーン)」の段階で、葛藤に決着がつけられないのであれば、「終わり」を迎えられない要因を探します。

この時、仕事のことだけでなく、プライベートの要素が大きく関わっている可能性があります。

当事者の社員だけでなく、その方を取り巻く家族や友人などの影響を受けていることが考えられます。

このような時は、経営者と社員と2人で面談をする機会を作り、しっかり話し合います。

このように、社員がトランジションを受け入れず、拒絶反応を示すと次のようなデメリットが生じます。

  • 話し合っても納得してもらえず会社を退職することになる(離職)
  • 社員がトランジションを拒否し、受け入れを説得するのに想像以上の時間を拘束される
  • 一部の社員がトランジションを拒否したことが全社員に広がり、会社の士気が低下
    (全社的モチベーションダウン)
  • 社員がトランジションによるオペレーションミスが増加
    併せてクレームも増加し、業務効率が大幅に低下した

など

このようなデメリットは、トランジションのデザインが不完全な状況で始まったといえます。

特に、トランジション後に行う仕事の、KGI・KPI・KFSが不明確であったり、マニュアルやワークフローが整っていない場合などに生じます。

トランジションは人の感情と密接な関わりがあります。

社員が不安にならないような環境整備をしておきましょう。

まとめ

小さな会社の経営者は、トランジションをポジティブに捉える人が多いと思います。

しかし、社員によっては、トランジションをネガティブに捉え、経営者の思うような行動が取れない方もいます。

もし社員が、トランジションをネガティブに捉え、経営者の想像するような行動をしない場合は、社員を叱責するのではなく、話をよく聞きましょう。

なぜ、行動できないと感じているのか現状確認⇒要因分析⇒行動改善に至る促しという対処法を考えるとよいでしょう。

トランジションをトラブルやアクシデントと考える方もいますが、これまでにない新しい状況に身を置くことは、人の成長を促すことにも繋がります。

ただ、全ての人がトランジションを好機と捉え、ポジティブな行動をするとは限りません。

中にはネガティブに感じ、行動が止まる人がいることも理解しましょう。

特に、あなたの会社の社員であれば、1対1で話を聞き、行動に移せない原因を把握して、改善に至れるように対処しましょう。

社員にトランジションを好機と捉え、ポジティブな行動を取らせるには、社員がこれから具体的に何をどうするのかイメージが出来るKGI・KPI・KFSの設定が欠かせません。

特にこれまで取り組んだことのないことに、不安を抱かせずに、ポジティブな仕事に取り組ませるには、KGI・KPI・KFSの設定が必要不可欠です。

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