中小企業の危機管理 トラブル、アクシデント、インシデントに備えるには

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小さな会社の危機管理

小さな会社は常にさまざまな危機にさらされています。

例えば

・社員の離職
・大口取引先の倒産
・売上金の未回収
・資金の確保ができない
・自然災害や経済状況の変化による業績不振
・社員のミスによる重大事故の発生
   それによる損害賠償の発生
・クレーマーによる業務妨害
・経営者の死亡

など

上げるときりがありませんね…

大口取引先の倒産や自然災害や経済状況の変化による業績不振など、自社では防ぎようのないこともありますが、ビジネスで生じる危機は、予め予測し予防対策が立てられます。

危機管理は大きな会社が行う事だと思われがちですが、小さな会社こそ、しっかり予測し対策を立てることが重要です。

また危機管理についての認識の違いも、小さな会社の危機度を高めます。

危機管理を防止(何かコトが起きた時、発展したり、力を振るわないようにとどめること、それ以上に広がらないように押さえること)で捉えるか、予防(悪い事態が起こらないように前もって発生しないように対策を立てること)で捉えるのかで、経営者の行動が変わりますね。

例えば「危機管理=防止」と捉えるとします。

もし次のような危機が現れたら、どのような防止策を考えますか…

 ・資金の確保ができない

・社員のミスによる重大事故の発生

 それによる損害賠償の発生

・クレーマーによる業務妨害

・経営者の死亡

どの内容も「起きたことが発展したり、力を振るわないようにとどめる」には、膨大な時間とお金がかかります。

小さな会社でこのようなことが起きたら、その瞬間に倒産の危機です。

防止策を行っても手遅れになることが圧倒的に多いです。

小さな会社の危機管理は「予防」が土台です。

「何かコトが起きたらどうするか」ではなく、「コトが起きないようにどうするか」という思考で危機管理に取り組みます。

いかに危機を予測し、「起きないための仕事の仕方、仕組み作り」を考えていきます。

ただ、予防だけでは対応できない事もあります。その場合は「防止策」も活用します。

危機も「トラブル」「アクシデント」「インシデント」と異なる状況が生じます。

それぞれの違いと予防・防止の仕方についてご紹介します。

トラブルとは

Trouble(トラブル)には「問題、困難」などの意味があります。

広辞苑では

「いざこざ。厄介なこと。悶着(もんちゃく)。」

出典:広辞苑

と説明しています。 

予測ができず、複数の人や要素が重なり合って生じる問題を指します。

例えば、次のような事柄をトラブルといいます。

行政書士をしている方が経営相談のコンサルティングを行い、顧問契約をすることになりました。

しかし、お客様は、契約内容と価格が聞いていた内容と違うし、契約書もないので顧問契約は白紙だと主張します。

行政書士の方は事前に説明をしたし、契約書に記載もして渡しているから納得済みのはずだと主張します。

お互いに主張が異なり納得もできていないので、お客様からは顧問料が支払われず、3ヶ月以上もこの問題は解決できていません。

この状況はトラブルに至る幾つかの要素がありました。

・契約締結や入金確認が終わらないうちにコンサルティングサービスを提供したこと

・初対面の挨拶の時に、専門的なアドバイスをしてしまった。

(お客様は、この部分を無料と捉え、行政書士の方は料金に含めている。このような認識の
 ズレが生じた。)

・お客様の目の前で契約内容の説明をして納得の上で押印をしてもらえていないこと

・契約書を経営者ではなく、事務の方に渡したこと

(事務の方から経営者に契約書が渡されていなかった)

この事例のように、トラブルは複数の人や要素が重なり合って大きな問題に発展します。

トラブルは「予測不可能」といわれますが、事例のように起きたことを整理すると、関わる人の油断、甘えの積み重ね、お互いの認識の違いなど、抑止可能なことも多く含まれます。

先程の事例に挙げた「クレーマーによる業務妨害」も油断、甘えの積み重ね、お互いの認識の違いによって生じるトラブルです。

トラブルは起こさないための「予防」行動が重要です。

トラブルを予防するには

トラブルは業種や会社の状況によってさまざまなケースがあります。

まず、早急に行う事は過去の事例検討と同業者のトラブル事例の分析です。

トラブル事例を分析することで、「このような対応をしておけば」という要素が必ず出てきます。

そして「このような対応をしておけば」という要素は、社員に仕事として認識されていない場合があります。

予防策はこのような仕事を可視化することです。

「見ていればわかる」「言わなくても知っているだろう」という、油断、甘え、認識の違いが起きないような工夫をします。

その工夫の1つが全社業務の可視化です。

・仕事はKGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)、KPI(Key Performance Indicator:重要(主要)業績評価指標)を設定し、KFS(Key Factor for Success:最重要プロセス)でタスクの可視化をする

・タスクは、いつ、誰が、何をするという役割分担を明確にする

・経営者と社員、社員同士で相互理解ができるよう、仕事の状況や進捗について情報交換をする

このように仕事の可視化をすることが、トラブルを予防することにもつながるのです。

アクシデントとは

Accident(アクシデント)には、不慮の出来事、事故、災難など、予期しない偶発的な出来事の意味があります。

例えば、次のような出来事をアクシデントといいます。

・お客様先に車で移動をしている時に、目の前で交通事故が起きてしまい、
 お客様先の訪問に遅れてしまった。

・出張で商談に行く予定だったが、飛行機に不具合が見つかり欠航となった。
 飛行機の振り替えができず、商談に行けなかった。

このような、自分の意志によって注意していても防ぐことができない、「思わぬ事故」、「不意の出来事」、「予測できない災難」などをアクシデントといいます。

自分で最新の注意を払い、想定できる予防行動を取っても、アクシデントは「予想外」「想定外」の出来事として発生します。

交通事故や飛行機の欠航は「防ぎようのない出来事」です。

このような場合は、「起きたことが発展したり、力を振るわないようにとどめる」防止策で対応します。

しかし、別の側面からすれば「もしも、交通障害が起きたら…」と仮説予想を行い、早めに行動する予防策を講じることもできます。

アクシデントは状況によって、「防止」と「予防」との2通りの対策を使い分けます。

アクシデントを防止するには

交通障害や仕事の小さなアクシデントは、「起きてからどうするか」の防止対応をします。

アクシデントの防止対応には、次の2つが重要です。

・「もしも」の仮説思考でさまざまなことを想定した行動を考える

・さまざまな角度で情報収集を行い、行動分析をする

想定外のアクシデントの中には、「起きた事が発展したり、力を振るわないようにとどめる」防止策で対応できるケースがあります。

ただし、対処法の仮説思考と情報分析は、ある程度ビジネス経験がある人でないと対策が立てられません。

全社員でアクシデントの防止策を共有するのであれば、マニュアルやワークフローに明記し、ナレッジを蓄積しておく必要があります。

アクシデントを予防するには

交通障害や仕事の小さなアクシデントは、仮説思考を用いて今後を予測することで、予防行動ができます。

例えば、お客様先に車で移動する場合、

「もしかすると、交通障害が起きるかも知れないので、〇分早めに出かけよう。」と考え、早めの行動をとる。

「出張で商談に行く」場合も「もし、飛行機が欠航になったとしたら」と予測し、前日に移動するとか半日早く移動をするなどの行動を取ることができます。

仕事のさまざまなシーンについて「もしも」と仮説思考で考え、さまざまな情報を収集して分析することでアクシデントを予防することが可能です。

特に、次のようなアクシデントは予防に取り組んでおかなければ、コトが起きた時のダメージが大きいです。

例えば

・資金の確保ができない

これは事前の仮説思考と情報収集で防ぐことができるアクシデントです。

このようなことが起きた時点で、会社は最大級の危機に直面し、改善には莫大な労力と時間がかかるでしょう。

このようなことが生じないように、常に財務状況を把握し3~6ヶ月間の収支動向を把握しておきます。

KGIを数値設定しておくと、更に把握は簡単になります。

会社のお金が伴うトラブルを予防し、経営動向を把握する意味でもKGIの設定は重要です。

・社員のミスによる重大事故の発生

それによる損害賠償の発生

これも非常に重大なアクシデントです。

このようなアクシデントを防止対応する場合、莫大な労力と時間、費用がかかります。

小さな会社にとっては致命的な危機です。

しかし、日ごろから社員の様子を見て、仕事の仕方や行動について指導を行う、仕事の担当を変えるなどの対策を講じておけば防げたことでしょう。

社員に関するアクシデントは、90%の事柄は予防で対応できます。

予防策はトラブル対応と同様に 

・仕事はKGI、KPIを設定し、KFSでタスクの可視化をする

・タスクは、いつ、誰が、何をするという役割分担を明確にする

・経営者と社員、社員同士で相互理解ができるよう、仕事の状況や進捗について情報交換する

全社員の業務を可視化し、KPI・KFSを活用したタスクの把握で予防に努めましょう。

・経営者の死亡

小さな会社の最大のアクシデントです。

もし、あなたが亡くなるようなことが起きたら、あなたの会社はどうなりますか…?

そのことを想定されている方は非常に少ないと思います。

しかし、現代のような異常気象や未知の病などで、いつ、どこで、何か起きるかはわかりません。

このようなケースには、防止と予防の2つの対策を講じます。

防止は正に「亡くなったら…」どうするかです。

 ・会社の財務状況は、誰がどこまで把握していますか?

・融資の返済計画は、誰がどこまで把握していますか?

・親しい銀行と現在の担当者は、あなた以外に誰が知っていますか?

・訃報はどこまでのおつき合いの方に連絡しますか?

・その顧客リストは、誰が管理していますか?

・非常に親しい方と、顔見知りレベルのおつき合いの方と、つき合い方の違いは、誰が知っていますか?

・もしもの時、経営は誰にどのように、どうするのか考えていますか?

改めて考えると、「もしもが起こり、その後の対策」は無数にあります。

いづれ起こりうる「もしも」のことを想定して備えておくことが大事です。

しかし、自分の健康管理として、暴飲暴食をしない、過度の飲酒や喫煙はしない、毎年必ず人間ドックに行くなど予防できることも沢山あります。

アクシデントの最大の予防は「仮説思考を用いた情報収集と分析」です。

予防もある程度のビジネス経験がないと対策が立てられません。

経営者が仮説思考で今後を予測し、アクシデントの予防行動になる仕事の仕方があれば、マニュアルやワークフローに記入し、全社員に共有できるようにしておきましょう。

インシデントとは

Incident(インシデント)とは「事件」「出来事」という意味です。

英語では「重大な事件に至る危険性があった小事件」という意味で用いられます。

アクシデントは「予想以外の出来事」ですが、インシデントは、アクシデントの予兆として起こる、「小さなミス」です。

例えば

・請求書を郵送する際に封筒を入れ間違えてしまい、別の会社宛の請求書を送ってしまった

・システム担当者に業務を属人化してしまった結果、社内システムのセキュリティが弱くなってしまった

・最後に退勤をした社員が事務所の施錠を忘れてしまった

この小さなミスを見逃してしまうと、アクシデントに繋がります。

インシデントは仕事をする中で生じる「人為的なミス」です。

例えば

・支払い内容を確認することを忘れて、月末預金口座の残高が不足し、銀行の借り入れ支払いが引き落とせなかった。

・エステのお客様に施術するのに、キープしていた保湿クリームを誤って別のお客様のクリームを使ってしまった。

このように、仕事をしている時の「ついうっかり」というミスが、インシデントです。

このようなミスが、先ほどのアクシデントの

・資金の確保ができない

・社員のミスによる重大事故の発生

それによる損害賠償の発生

に繋がっていきます。

インシデントは日常の業務で生じる小さなミスですので、ミスが生じないように予防対策を立てることができます。

 インシデントを予防するには

インシデントを予防するには、SHELL(シェル)モデルを活用します。

SHELL(シェル)モデルとは、Elwin Edwardsが1972年に航空事故に関して作られた調査モデルをもとにFrank H Hawkinsが1975年に作ったものです。

SHELL(シェル)モデルは徐々に日本の医療・介護分野でも危機管理の手法として応用活用されています。

SHELL(シェル)モデルは、5つの要因に分けて分析し、インシデント発生の原因を把握して対処するものです。

SHELL(シェル)モデル

・Software(ソフトウェア):マニュアル、ワークフロー、ルールなど

・Hardware (ハードウェア):機器や機材、設備、施設の構造など

・Environment(環境):実施する場、状況

・Liveware(関係者:当人):インシデントを発生した人(性格や行動パターン)

・Liveware(関係者:当人以外):インシデントを発生した人を取り巻く人たち、関係性

インシデントを予防するには、SHELL(シェル)モデルは要素ごとに、インシデント発生を防止する対策を考えます。

5つの要素全てに共通することは、Liveware(当人とその他人)の個人のスキルや経験によって現象が異なって現れるという事です。 

このLiveware(当人とその他人)の個人スキルや経験によって、インシデントの発生に差が出るのであれば、Software(ソフトウェア)の整備が重要になります。

仕事に関する、マニュアルやワークフロー、業務を進めていくための約束、ルールを可視化します。

Hardware (ハードウェア)を使うスキルやEnvironment(環境)によって活躍できるスキルレベルも明確にしておきます。

それにより、スキルや経験が不足していることによるインシデントの発生が予防できます。

スキルや経験不足の方は、別途OJTや自主トレでスキルアップや経験値アップができるようにすると、更にインシデントの発生を予防できます。

まとめ

日々の仕事の中にトラブル、アクシデント、インシデントなどのさまざまな危機が生じます。

アクシデントは危機が起きてから対応する防止策が活用できますが、アクシデントを含むトラブル、インシデントは、危機が起きないようにする予防策を講じることが大切です。

特にアクシデントは、起きてからの対応では既に遅く、会社を倒産の危機にさらす危険性も生じます。

小さな会社では「何かコトが起きた時、発展したり、力を振るわないようにとどめること、それ以上に広がらないように押さえる」防止対応より、「悪い事態が起こらないように前もって発生しないように対策を立てる」予防対応が非常に重要です。 

時に、重大なアクシデントに繋がる、インシデントは人が要因で生じることが多いです。

社員に対する仕事に関する意識合わせや、仕事のオペレーションの仕方に差が生じないように、育成体制も併せて行っていきましょう。

01組織クラウドでは、仕事で使う用語の設定や、仕事の手順や留意事項が蓄積できる、マニュアルやワークフロー機能があります。

社員の業務進捗を確認する機能や、目標や取り組む仕事を記録するKGI、KPI、KFSを設定する機能もあります。

全社員が会社の仕事状況を簡単に把握し、認識に差が生じないような仕組みを取ることが危機管理の第一歩です。

 

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