はじめに
従来は動画や映像というのは一部のプロのものでしたが、youtubeなど動画配信サイトの進化によって、誰でも簡単に動画を世に公開できるようになりました。
それに伴い、企業でも動画を使ったマーケティングやマニュアルなど、動画の活用に本腰を入れて取り組んで来ています。
動画の編集や制作ができるフリーランスなども増え、2021年時点で動画の市場はかなり混沌とした状況です。
今回の記事では、ビジネスにおいて動画を活用しようと思ったときの動画制作のポイントを解説します。
動画制作の前になぜ動画を作るのかを再確認する
動画の制作を始める前に、まず何のために動画を作るのか、というところを再確認しましょう。
流行に乗って動画という手段を選択する前に、もしかしたらゴールの達成のために最適な方法が他にもあるかもしれません。
例えば高齢化の進んだ過疎の村で、流行っているからと動画のマーケティングを仕掛けても、期待するような効果が得られない可能性があります。
実際に家々にビラを撒く方が効果が出ることもあり得ます。
目的や状況によって、動画が最善かどうか、という部分は最初に確認をしておく必要があるでしょう。
制作した動画のゴールを決める
さて、動画での施策が最適だと決定したら、次は制作した動画を使ってどのような結果を得るか、ゴールを設定しましょう。
どのような動画を作りたいのか、動画のイメージは達成したいゴールから考えて決定しましょう。
・会社のイメージを見た人に伝えたい
・商品を短い時間で買いたいと思わせたい
・社員の教育用に動画のマニュアルを作りたい
など、動画を使って達成したいことをしっかりと決めたら、
次はより具体的にイメージを固めていきます。
例えば、商品を短い時間で買いたいと思わせたいのであれば、
・誰に(例:40代の主婦に)
・何を(例:健康と美容に良いオーガニックのサプリメントを)
・どう(例:2個セットで割引など)
・具体的なアクション(顧客にさせたいアクション:この動画をクリックするとすぐに販売ページへ、など)
上記のように掘り下げて考えていきます。
ターゲットや方針が固まったら、それに合わせて動画を構成していきましょう。
その前に、動画を誰に依頼するのか考える必要があります。
・プロの動画制作会社
・フリーランス
・社内製作
一口に制作といっても、予算や期間によって、依頼をする相手は変わってきます。
質のいい動画を作成する必要があるのであれば、プロに依頼する必要があります。
それでは、プロに依頼するメリット・デメリットを紹介していきます。
映像の質が高い
プロは動画制作のノウハウを持っているため、機材もさることながら、良い動画とは何か、というものを知っているため、良い動画を作るのに必要な時間であったり、撮影の方法であったり、ライティングの方法であったり、編集のタイミングであったりを任せることが可能です。
また、プロの制作チームはカメラひとつ取っても、機材のレベルが違います。
一般的に使用されているカメラと撮影で使用されるプロ用のカメラでは、画質や性能が全く異なるので、映像の質に差が出ます。
加えて、プロは照明やマイクなどの機材も持っており、目的や状況に応じていろいろな機材を駆使する技術があるのが特徴です。
優れた機材を使って、よりクオリティの高い動画を制作する必要がある動画の場合(例:会社のイメージ映像)は映像の美しさで訴求する手法を使うことが多いです。
その場合はプロに依頼するのが良いでしょう。
企画や構成を詰め込まない
動画制作のノウハウがないと、企画や構成も行き当たりばったりになり、無駄が出ることが多々あります。
余計な部分を盛り込んでしまったり、肝心な部分が足りていなかったりしては、良い動画を作れません。
どこを一番重点的に伝えるのかが絞れていなかったり、不必要だとは漠然とわかっていながらも、完全に捨てる、ということができないからです。
経験が浅い人によくありがちな動画は、やみくもに情報を羅列していること。
見る人にわかりにくい動画になりがちです。
この点、プロに依頼すると、情報をシンプルかつ適切に構成してくれますし、サポートもしてくれます。
また、これをこう伝えるためには、どう撮るか、どのぐらいのタイミングで画面を切り替えるか、などは、プロの経験値やノウハウが圧倒的に優れています。
制作会社によっては、元テレビ局の方がいらっしゃったりして、伝えたい情報を的確に伝えるためにはどんな構成にしたらよいか、という企画のアドバイスをしてくれることもあります。
映像を最後まで観てもらうために起承転結のあるストーリーを組み立てるなど、見てもらうための工夫を教えてくれるでしょう。
編集のノウハウがある
プロは、編集力も違います。
誰でも利用できるようなフリーソフトと比べると、プロ用の映像編集ソフトは機能が豊富にあるのが特徴です。
私たち一般向けのソフトは使いやすい代わりに、細かい調整をすることができないような作りになっています。
対してプロ用のツールでは、エフェクトやテロップなどで、訴求力のある編集が可能になります。
動画をつないだり、ズレの修正などが難しかったりする作業も、スキルの高いプロであれば、安心して任せられます。
自分で編集をして、うっかり大事なデータを破損するという心配もありません。
プロに依頼するときの注意点
プロに依頼するときに気をつけておくべきポイントは下記のようなものになります。
・予算との調整
・プロの得意分野が自分のイメージと合っているか(制作実績を確認)
・納期
などを確認していただき、もっとも適切な業者を見極めましょう。
料金の相場としては、もちろんフリーランスなども含めればピンキリです。
動画の長さ、構成の手間にもよりますが、下は50万円から、中には300万円以上もするような制作会社さんもあります。
一方、フリーランスに依頼した場合は5〜15万円程度が料金の相場となります。
制作会社に比べてコストは安いものの、制作の実績や納期など、玉石混交のなか探し当てる必要がありますし、制作してもらえる映像の種類は限られます。
その辺りも含め、決定しましょう。
動画の作り方〜魅力的な映像にするために気をつけること
さて、動画を外注する話をしてきました。
次は何とか自社でできないか、と考えている方たちのために、制作のポイントを解説します。
ターゲットを決める
冒頭でもお伝えしたとおり、誰にこの動画を伝えて、何をしてもらいたいのか、を明確にしましょう。
ご自身の狙っている効果を最大にできるターゲットはどこにいるのか探して明らかにしていきましょう。
動画の長さを決める
ターゲットが決まったら、動画の最適な長さはどれくらいか、提供する先の動画配信媒体の性質も含めて理解しておくことが重要です。
例えば
Youtubeで内容をしっかり伝えることが目的の動画なら、動画の長さは10分から15分程度のものがベターですし、
コマーシャルとして一瞬で覚えてもらうようなものであれば、6秒から15秒、
Tiktokであれば1分以内でインパクト重視、引きのあるもの
など、媒体とターゲットと伝えたい動画の内容をあらかじめ理解して長さを決める必要があります。
動画の構成を作る
動画の全体像が決定したら、実際の制作フェーズに移っていきます。
ここでは動画制作会社のフローを紹介します。
このフローを自社でやると考えて参考にしてみてください。
動画制作は、基本的に「企画」「絵コンテ作成」「撮影(アニメ制作)」「編集・MA」といった流れで行われます。
動画制作の全体像を把握するために、基本的な流れを押さえておきましょう。
ここからは、それぞれの工程について簡単に解説します。
まず、企画の段階で行われるのは動画の企画案の作成です。
クライアントのヒアリングを通して、制作会社は動画のターゲットや目的、含めるべきメッセージ、キャッチコピーなどを抽出、作成します。
そのうえで、動画のコンセプトや制作スケジュールなどの具体的な企画を立てていきます。
企画が完成したら、次に取りかかるのが絵コンテの作成です。
絵コンテ作成では、動画で使う映像のカットやセリフを細かく決めていきます。
音声を使わないのであれば、字幕の表記なども決めていきます。
クライアントと打ち合わせながら、動画のもととなる台本を仕上げていきます。
次に行うのが、実写であれば撮影、アニメーションであればアニメ制作です。
撮影やアニメ制作が完了したら、動画の編集とMAを行います。
MAとは、編集が終わった動画に効果音やナレーションなどを加え、音響を仕上げる作業のことです。
編集とMAが済んだら、完成です。
実際に撮影する〜撮影の際の注意点
実際に素材を撮影で撮っていく際にも、注意が必要です。
最近では、スマホでも十分に質の良い動画が撮れます。
ただし、プロでは当たり前のことでも、私たち一般人が撮影する場合には知っておきたい様々な注意点があります。
下記に一例を紹介します。
・街で撮影する場合、他の人の顔が入らない、もしくは入ったら編集で顔がわからないようにする(ぼかしを入れるなど)
・動画の時間に対して十分な素材の時間(撮れ高)を確保する
編集をしていったら素材の時間が足りずに別日程で撮り足す、というのは、日程確保から服装を揃えるなど様々な追加工数が発生してしまうため、極力その日のうちに十分な撮れ高を確保しましょう。
・録画ボタンを押したら、2秒以上たってから動き始める
実際に録画ボタンを押しても、録画され始めるのに少しの時間差が生じる場合があります。
もし録画ボタンを押したと同時に動いてしまったら、最初の部分が切れて録画されてしまっているかもしれません。
・光の具合(露出)に気を遣う
逆光では顔が黒くなってしまったり、背景が白飛びしてしまう、などの不具合がおきてしまうこともあります。
素材によって露出がうまく調整できていないと、見る側としては疲れてしまう映像になるので気をつけましょう。
もし少し調べて対応できそうであれば、レフ板やライティングなどの知識も持っているとよりクオリティが高い動画が作成できます。
動画を編集する〜編集のコツは?
さて、動画の素材が撮れて、次はコンテにしたがって編集をしていくことになります。
編集のポイントは、詰め込みすぎないこと。
短いカットで次々に場面や画面が切り替わると、内容を噛み砕くことが難しくなり、見ている側はただ目に写っているものが流れていく、という状態になってしまいます。
もちろん、そのような効果を狙う場合は短いカットを素早く切り替える必要がありますが、もし商品の説明などをするのであれば、表示が短いと理解の妨げになるので注意しましょう。
ただの写真スライドショーでも、1枚あたり4〜5秒は保持する、というイメージを持っていただければ、どのタイミングでカットを入れるか、がわかりやすいでしょう。
実は動画編集をしたことがない方にとって、一番実作業の時間とのギャップがあるのがテロップです。
テロップを入れるのにはものすごい時間がかかります。
動画をカットして繋ぐ時間の2倍以上かかると考えていただければ理解しやすいでしょう。
動画の書き出し
パソコンで動画を編集するのであれば、編集のあと、必ず動画をデータとして書き出す、という作業が発生します。
使っているパソコンの性能にもよりますが、画質がよければ良いほど、書き出しにも時間がかかります。
書き出し時間を考えてスケジュールを立てておくことが肝心です。
動画配信サイトへのアップロード
配信サイトで見てもらうためには、タイトルや概要などの入力が必要です。
目を引くタイトルであったり、サムネイル画像を作成してより一目で興味をひけるようなものを作りましょう。
また、アップロードにも時間がかかりますので、その時間を織り込むことも併せて重要です。
まとめ
動画制作が身近になった今、簡単な動画なら社内で作ろうと考える経営者さんも多くなりました。
そんな中でどうやったら動画をうまく作れるか、参考になれば幸いです。