経営者の早期リタイア|資金調達と仕組み化の関係をご説明します

組織/仕組みづくり
組織/仕組みづくり

みなさん、「FIRE」という言葉をご存知でしょうか?
元々数年前にアメリカから起きたムーブメントで、その後日本に伝わりました。
FIRE」は「Financial Independence、 Retire Early」の頭文字で、「経済的に自立して早期に退職し、お金のために身を削って働くことから解放される」というライフプランをいいます。
言い換えれば、「早期リタイア」です。

日本では主に40、50代のサラリーマンがコツコツ資産を形成し、定年前にリタイアする印象が強いですが、実は経営者こそ早期リタイアについて真剣に検討する必要があります。

経営者の早期リタイア

一般的に、サラリーマンには「定年」があるので、働ける年数が決まっています。
しかし、経営者には「定年」がないので、働こうと思えばいつまでも働けてしまいます。

『2021年版 会社四季報 未上場会社版』によると、伊藤組の伊藤義郎社長は93歳で現役だそうです。(2020年8月時点)

しかし、いずれはリタイアする時が必ずやってきます。
体力的な問題や家族の問題など、さまざまな要因があります。

また、経営者でいる間はずっと経営者であり続けなければなりませんが、早期にリタイアすれば、空いた時間で自分の世界を広げることができます。
実際に早期リタイアで世界旅行に出かけたり、田舎に移住したり、「連続起業家」となる人も多いです。
ある程度事業の目処が立ったら後任に譲るのもいいかもしれません。

経営者が早期リタイアの為に準備しておくべきこと

早期リタイアするには、今後困らないためにも様々な準備が必要です。

リタイア後の資金準備

早期リタイアに必要な資金はどれくらいでしょうか?

一般的に、目安は年間支出の25倍の金額と言われています。
これは年齢に関係なく共通の指標です。

25倍だと25年分しかカバーできないのでは?と思うかもしれませんが、この金額は「投資元本」なので、この金額から収益を生み出していくことになります。

総務省統計局の家計調査報告書によると、消費支出(二人以上の世帯)は、1世帯当たり  月額平均265,306円なので、年間だと約300万円以上支出します。
となると、最低でも7,500万円は必要です。

資産を形成する方法は、主に3つあります。

保険などでリタイア時に必要な資金を蓄えておく

 iDeCoなどの公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度や、保険を使う方法、積み立てをする方法などがあります。

資産形成の方法一覧

財産形成貯蓄制度(財形)

積立定期預金

貯蓄型保険

個人年金保険

学資保険

低解約返戻金型終身保険

外貨建て保険

変額保険

確定拠出型年金

つみたてNISA

不労所得を得る

不動産投資による家賃収入、株式投資による配当金、自宅の駐輪場や駐車場の空きを利用して駐輪場や駐車場貸し出しなどもできます。

セミリタイアをする

完全に前線から退くのではなく、例えば1日4時間労働などで会社をサポートする側にまわったり、講演会や執筆活動で収入を得る方法もあります。

実際に、不労所得を得ながら好きな仕事を続ける「サイドFIRE」や、気の合う仲間がいる職場に短時間だけ働きに行ったりする「バリスタFIRE」など、色々なタイプのセミリタイア実践者がいます。

会社を売却する

経営者の場合は会社の一部、または全部を売却して資金を得ることができます。
実際にM&Aのマッチングサイトがあるくらい、M&Aを使って事業継承をする中小企業が増えています。

メリットとしては、自社株式の売却によって手元に現金を残すことができるだけではなく、自分が会社を去っても経営が安定することです。
しかし、買収先探しや買収額の交渉がかなりタフであることと、完全に自分の手から経営権が離れてしまうので、M&Aには覚悟が必要です。

次の章では、経営者の皆様が一番気になるであろう、買収額を高くする方法をご紹介します。

買収額を高くするためのポイント

買収側は事業に期待をして買収します。

クロージングだけでなく、PMI(Post-Merger Integration、M&A成立後の統合)を如何に推進するかもM&Aの成否において大きな要素となります。

PMIに向けた「片寄せ」という方法(簡単に言うと買収側もしくは被買収側どちらかのシステム・制度にもう一方を合わせること)があり、各国で買収を繰り返し拡大している企業では、自社の制度やプロセス(以降仕組みと言います。)を基軸に、被買収企業の仕組みを統合するケースが多くみられます。

しかし、日本ではこの「仕組み」を統合しないことが多く、買収後も事業に対する理解が十分にできず、ただただ連結決算が行われる…といった状況にあります。

もし皆さんが買収側になった時に、買収する会社の仕組みが確立されていたらどうでしょうか?
例えば、Aさんという社員しかその仕事ができないので、買収後もその人に頼りっきりといった会社よりも、全ての業務が仕組み化されていて、新しく入った社員でもマニュアル通りに進めれば良い会社だったら、絶対に後者の会社の方が買いたいですよね。

既にあるマニュアルに沿って進めれば誰でも仕事ができる状態=誰が経営者になっても問題ない=企業価値が高いということになります。

人に仕事が紐づいている状況から、早々に「仕事に人が紐づく」状況に変えていくことが大切です。

早期リタイア後の対応について

これまで、早期リタイアに必要な資金と資産形成についてご説明しましたが、リタイア後の節約も重要なポイントです。
現役時代のようにまとまった金額が入ってくるわけではありませんので、節約が鍵となります。

4パーセントルールをご存知でしょうか?
早期リタイア後に必要な資金の内、年利4%の運用益で生活費を賄えれば、資産を目減りすることなく暮らしていくことができるという考え方です。

根拠としては、1998年に米国トリニティ大学が発表した『トリニティスタディ』という論文です。

概要
株式:債券の割合を変えた1,000ドルの退職金を、さまざまな時期からさまざまな比率で定額で取り崩し続けるというシミュレーションを実施した 

結果
株式50%債券50%の資産をつくり、年4%ずつ取り崩せば、30年後も資産が残っている可能性は100%

ただ、この4%というのは、アメリカの株式市場が年間平均7%の成長率で、インフレ率が3%であることの差し引きで4%という理論上の数値ですし、物価・為替の影響を大きく受けるので、4%という数字を絶対視せずに、金融プランナーや税理士と相談して、自分でコントロールすることが大切です。

これを解決するのが会社の「仕組み化」ですが、後ほどご説明します。

早期リタイア後に安心して過ごすための「仕組み化」

ここまで、早期リタイアのために準備すべきことを説明しましたが、早期リタイアした後でも、やはり事業が続いていくかは気がかりかと思います。

リタイア前に、会社に残る従業員のための準備が必要です。

リタイア後の会社と従業員のための準備

完全に会社を清算(会社の財産を換金し、株主に会社の財産を分配する手続)する場合は、会社が残らないのでその後のことは気にせずで良いのですが、従業員が家族だけの場合を除き、取引先や一般社員がいるので、なかなか完全に精算してしまうのは難しいでしょう。

その場合、誰かに会社を引き継ぐ必要があります。
後継者選びはなかなか大変で、古株社員と新しい経営者との関係がうまくいかなかったり、経験の少ない人が経営者になる場合、他の従業員の不安要素にもなります。

「買収額を高くするためのポイント」の章でも述べましたが、誰が経営者になっても問題ない状態にすること=「仕組み化」が大切になってきます。

仕組み化のポイント

どこから仕組み化を進めていけばいいのか?
そもそも仕組み化とは何をするべきなのかわからない人もご安心ください。

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