小さな会社の社内大学設立方法 ~新たな人材育成の取り組み~|準備編

社員研修/教育
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新たな人材育成の取り組み「社内大学
社内に大学のように学びの場を作る取り組みです。
この取り組みはアメリカの企業から波及し、日本ではマクドナルド社やソフトバンクホールディングス社などが取り入れています。
このようなお話をすると、大掛かりで大手企業の取り組むようなことだと感じてしまいますね。

いえいえ…
小さな会社でも社内大学は設立できます。
社内大学の最大の特徴は次の3つです。

  1. 年間を通して学ぶことが決まっている
  2. 学びを指導する講師が決まっている
  3. 学びの結果を測る評価がある

この3つが整えば、小さな会社でも社内大学は設立できます。
社内大学を設立するには、8つのStepがあります。
今回は準備編 Step1~Step5までの内容をご紹介します。

Step1:社内大学設立準備

社内大学の設立はHRDがベース

HRDとはHuman Resource Developmentの略で人的資源を戦略的に育成するという考えに基づいた人材育成活動の総称です。

このような言葉が使われている一方で、日本のビジネスの中で、「戦略的人材育成」という発想が不足しています。

日本の社内教育の歴史は、世襲が原点です。
個人の生まれた家の生業を、子どもが引き継ぎます。

この時代、育成の目的は「親と同じことをさせる」です。
親と寝食を共にし、何年も同じことを見せて、覚えさせ「一人前」という技能習得をします。

世襲教育は「親子関係」がベースにありましたので、いつも一緒にいながら仕事をすれば、「勝手に」子どもが覚えてきました。

このような思考が残念ながらまだ、日本のビジネス界で根強く残っており、社員を戦略的に育成するという視点で取り組んでいる会社は非常に少ないです。

社員を戦略的に育成する4つの要素

経営戦略を基に社員を育成していくには、次の4つの用を考えることが必要です。

1.経営課題の分析

今自社で生じている経営課題に注目します。
その課題はどのような要因で生じているのか分析します。
分析の結果として人に関わる課題があれば、その点から育成の目的を考えていきます。

2.育成の目的

自社の社員をどのような人材に育てるのか目的を考えます。
育成の目的は経営戦略から波及します。
自社の将来的な展望を考えて、どのような知識や技術を習得させるか考えます。

例えば

  • 会社の利益を上げる人材に育てる
  • 経営理念を実現し社会課題を改善する人材に育てる
  • 自分の右腕として会社全般を任せられる人材に育てる

この目的によって、育てるためのStepや方法が異なります。
経営戦略を基に、どのような人材に育てるのか目的を明らかにします。

3.運営ルール

社内大学を運営するのにどのような方法で実施していくかルールを決めます。
例えば、講座は全社員強制的に参加するのか、任意参加なのか?
もし、任意参加であれば、講座の参加募集をする役割、社員の出欠を確認する役割、授業の準備をする役割など、実際に運営に関わる人をどのように取り決めるのか決めておきます。
講師との連絡や講座の準備や会場の手配など、事務的な動きについても明確にルール化しておきます。
また、参加した社員と、していない社員について、何かしら評価に差を付けるのかなど、社内大学を運営していく上で、どんな動きが発生し、いつ誰が、どのようなタイミングで関わるかなどを書き出し、全てルール化しておきます。

4.育成の評価

社内大学を設立し、育成を行った結果をどのように測るのか、評価の基準や方法を考えます。
例えば、評価基準が作業時間の短縮なのか、お客様のリピート率なのか、測るものによって教える内容が異なります。
評価は教えたことの結果を測ります。
何を教え、どのような結果を想定して、どのような方法で結果を測るのかを考えます。
この目的と評価が決まることでカリキュラム(教えることや取り組みの内容)が決まります。
あなたは何のために社員を育成したいですか?
経営課題に注目しHRDの視点から経営課題の分析、育成の目的、評価について整理してみましょう。

自社の特徴を把握する

以前ブログの中で「人材の育成は植物を育てることと同じ」という説明をしました。
植物を育てるには種と土が必要です。
しかし、その種と土にも相性があります。
例えばお米は水田でないと育ちません。
トマトは畑でないと育ちません。
水田でトマトの種をまいても芽が出ず育つことはできません。
人も同じで会社で働く人と、会社の風土も相性があるのです。
社員教育を行う時、育成方法ばかりに注目をされますが、実は社員が育つ土(風土:社内環境)を把握しておくことが大事です。

例えば、自発的に仕事をして欲しいと思い、積極的に行動する社員がいても先輩社員の多くから「言われたことだけして」「余計な仕事をしないで」と言われるような環境であれば、積極性は発揮できません。
つまり、土に合わない種をまいて手入れをしても実ならないのです。
重要なのは、会社の風土(仕事の特徴や社内の関係性など人が育つ土壌のようなもの)と、育てない種が合うか、把握した上で社内大学の学びの内容を決めます。

例えば、行政書士の仕事は、行政などに細かい資料を作成し提出する仕事が多いです。
その仕事に関わる人の特性として
・細かい確認作業が出来る
・報告連絡がスムーズに行える

などがあるでしょう。
ただ、行政の仕事は時として変更が多く、せっかく作った資料も修正が入ることがあります。
そこで、
・状況に応じた柔軟な対応ができる
という要素も求められます。
しかし、今の社内全般を見渡しても柔軟に対応できる人材が少ないのであれば、この不足点を全社的に強化するために、社内大学の学びに取り入れるということをします。
このように、自社の特徴を把握したうえで、何を学ばせどのように成長させるか設計するのは経営者の役割です。
会社の風土を考えず育成のカリキュラムを考えても思うような結果が出ないことがあります。小さな会社こそ自社の特徴を把握し課題点を改善するカリキュラムにするか、今の特徴を更に強化して突起させるのか、経営戦略から考えて学びの内容を決め家行きましょう。
あなたの会社の風土を作っている、仕事の特徴と人の特徴を整理してみましょう。
その特徴を把握したうえで、課題の改善に取り組むのか、特徴を強化させるカリキュラムにするのか、経営戦略的に考えてみましょう。

取り組みの社内告知

社内大学という教育制度を実施する方針が決まりましたら、実施に向けたPDCAを作成し社内に告知します。
社員数にもよりますが、全社員が参加するのか、一部分の社員が取り組むのか、実施時期、運営方法について出来るだけ早めに告知します。
その際、どのような役割があるのかも伝え運営メンバーを募ったり、社員の自主選択によって役割分担が決められるようにしていきます。

社員も自分の業務がありますので、その調整が必要です。
Step2の社内大学のカリキュラムを決める段階の3ヵ月前、遅くても2か月前には告知し、社員に心の準備をしておくように伝えます。
社内大学を運営するメンバーが揃いましたら、Step2の社内大学のカリキュラムを決めに取り掛かります。

Step1まとめ

社内大学を設立するのであれば、事前に準備することがあります。
最も大事なことは、経営戦略から波及するHRDです。
HRDは経営課題の分析を行い、育成の目的・評価から育成方法を考えていきます。
しかし戦略的なHRDを考えても、あなたの会社では育たない人材に行っても結果は現れません。

社内大学を設立する前に、自社の特徴を把握し、どのような人材を育てたいのか、また育つ環境があるのかを把握します。
必要によっては社内の風土を整え、育成が行いやすいように環境の整備をすることも必要です。
育成の目的と育成の方向性を経営戦略を基に考えます。
社内大学の設立は特定の人物だけが活動して出来ることではありません。
社内大学という教育制度に対する意識作りをするためにも、できるだけ全社員を巻き込み社内大学の設立に関わるようにしていきましょう。

Step2:社内大学のカリキュラムを決める

社内大学を設立する準備が整いましたら、社員を育てるカリキュラムを決めます。
カリキュラムとは教育の目的に合わせて、教育内容と学習支援を総合的に計画したものです。
社内大学のカリキュラムは日々の業務内容がベースです。
まずは自社の仕事がどのような仕事から始まり、どのような仕事で終わりになるのか全ての業務を洗い出します。
その業務内容から社員を育てるカリキュラムを考えます。

業務の洗い出し方

業務を洗い出すと言われても、日々膨大な仕事に取り組んでいらっしゃる方は、簡単な作業ではないと思われるでしょう。
確かに、一人で業務を洗い出すのは大変です。
そこで、業務を洗い出す3つの方法をご紹介します。

1.部門や業務内容ごとに整理をする

例えば、営業、事務など仕事の種類ごとに分け、関わっている仕事の内容を書き出していきます。
営業という仕事も、「新規開拓」「ルート営業」など、お客様との関わり方で仕事の内容が分かれるのであれば、仕事の種類ごとに分けて整理をします。
整理の仕方は普段の仕事の時系列に沿って付箋などを使いながら整理をします。
同じ仕事をしている人ごとや、班ごとに集まって付箋を使って洗い出します。
付箋を活用すると、業務の順番の入れ替えや過不足の調整がスムーズに行えます。

2.担当者ごと仕事の書き出し

各社員ごとに、今担当している仕事を書き出してもらいます。
例えばワークシートのような用紙を使い、朝出社してから退社するまで、どのような仕事をしているのか、時系列に沿って仕事の内容を書き出してもらいます。
その後、仕事ごとに内容をすり合わせ、モレ・ダブリが無いか再度確認します。
この時も付箋などを使って整理すると良いでしょう。

3.社内説明&インタビュー

担当者ごとの仕事の書き出しをした後に行うと良いです。
同じ会社でも他部署の仕事はなかなか分からないことが多いです。
そこで、仕事ごとに整理された内容を使い、他部署の方に説明をします。
その説明を聞いた方が、不明点や疑問点についてインタビューを行い、仕事の深掘りや内容のモレ・ダブリを確認します。

仕事の洗い出しは、全社員で取り組みます。
特に社内説明&インタビューは自社の仕事を理解させるきっかけにもなります。
業務の洗い出しは全社員で行うように調整をしていきましょう。

あなたの会社の業務内容を整理する方法として、どのような方法が取り組みやすいですか?
この方法以外でも、あなたの会社の業務を洗い出す方法を考え、実際に取り組んでみましょう。

洗い出した業務を整理する

自社の業務内容が洗い出されましたら、その業務内容を基に教える内容を3つに分類します。

1.マインド

仕事に向かう姿勢、お客様に対する姿勢や心構えなどに該当する要素です。

2.知識

仕事をする上で知っておくべき知識です。
例えば社内ルールや仕事で必要な用語の解釈、専門的な知識などです。

3.技術(テクニカルスキル)

仕事をする上で必要な技術(テクニカルスキル)です。
パソコン操作、電話応対、来客対応、整体の施術などテクニカルスキルも様々あります。

この整理された業務内容を基に、どの内容をどれくらいの時間で教えていくのか、自主的な勉強にするのか、指導が必要なことなのか、実践ベースの勉強にするのか、学び方を感がえる材料にします。

業務の洗い出しをすると出てくる情報は「今の仕事」についてです。
「今の仕事」を覚えていくことも大事ですが、その延長線上にある未来の経営を見据えた学びを考えておくことも重要です。

今は行っていない仕事でも、今後の自社の経営戦略から今後取り組む可能性がある「未来の学び」が存在するかどうかを考え、必要であればそのことも社内大学のカリキュラムに含めておきます。

社内大学を設立するだけでなく、業務マニュアルやワークフローを作成する際にも業務の洗い出しは行いますね。
あなたの会社では、業務の洗い出しに取り組みましたか?
もし取り組んでいたのであれば、どのようなカリキュラムにするのか内容を考えてみましょう。
あなたの会社で今後取り組む可能性がある「未来の学び」になることはどのようなことですか?
経営戦略的な視点から、未来の学びについても考えてみましょう。

Step2まとめ

社内大学のカリキュラムを決めるには、今行っている業務の洗い出しから取り組みます。
業務の洗い出しは膨大になる可能性がありますので、洗い出しの3つの方法を活用して取り組んでみましょう。
洗い出した業務を整理し、学び方を決めていきます。
その際、今の業務内容だけでなく、今後取り組む可能性がある「未来の学び」も含めておきます。

仕事を覚える際、次の3要素があれば育成時間は短縮化できます。

  • 仕事の全容が分かる資料
  • 仕事に必要な基礎知識
  • 仕事の難易度に応じた技能習得のStep

この要素もカリキュラムの中に含めておきましょう。

Step3:学びの順番を決める

社内大学のカリキュラムで、マインド・知識・技術(テクニカルスキル)・未来の学びなど、何を学ぶのかカリキュラムの土台作りを行いました。
人が何かを学ぶには学びの順番があります。
作成したカリキュラムも学ぶ順番を決めておくと更に学びの効果が高まります。
まずは、人の学びにはどのような段階があるのか学びのメカニズムを確認しましょう。

学びのメカニズム

アメリカの心理学者、ジャン・ピアジェの「発生的認識論」を引用すると、人の学びは次のようなメカニズムになっています。

この学びのメカニズムを参考にすることで、簡単な業務から難しい業務へ移行できるよう学びの順番を決めると理解がしやすくなります。

Step2で考えた、カリキュラムの中で学びの順番を考えた方が良いカリキュラムはありませんでしたか?

あなたが洗い出した業務も学びのメカニズムを参考に学びの段階を考えてみましょう。

学びの段階を決めるメリット

人が何かを学ぶには、学びのメカニズムのように段階があります。
しかし、Step1でご紹介したように日本の社員教育は家業を継ぐ=家の手伝いの延長でしたので、学びは日常で生じ、メカニズムを考える必要がありませんでした。

しかし、時代が変わり家族以外の方々と仕事をするようになり、「初めて学ぶ」という状況が生まれました。
その時「見てれば分かる」と言われても、初めてその仕事に関わる人にとっては、何が何だか全く理解することができないです。

そこで全く何も知らない人から徐々に仕事を理解させる段階を作っておくと、指導がスムーズにいきます。

例えば、何も知らない人があなたの会社に入社した時、一番初めに教えておくことはなんでしょうか?

伝票整理でしょうか?
電話応対でしょうか?

これまでは、このような発想で仕事の区分をしてきたと思います。
しかし、学びのメカニズムを参考に、「教わらないと分からない仕事」、「自分で経験を積んで覚える仕事」と、業務を段階で整理をすることで、教える順番が決めやすくなります。

簡単な仕事から難しい仕事(経験が伴わないと処理できない仕事)へ取り組ませる道筋を通るのも簡単にできます。

その他、学びの段階を決めると次のようなメリットが生じます。

・自主的に学ぶシステムが作れる
経営者や管理職が学びの管理をしなくても、社員自らキャリアアップの計画が作れます。
段階に応じて今後の自己成長もイメージができ、自主的に学ぶシステムを作ることができます。
・学びの継続性が生じる
例えば、難易度1(簡単)な学びが終わったら、次は難易度2の学びをするというように、社員自ら学びの順番が考えやすくなり、学びに継続性が生じます。
・学び方(自己学習、先輩の指導)を想定したカリキュラムが作れる
自分で学ぶことなのか、指導を受けて学ぶことなのかが明確にできるので、指導のタイミングや準備が計画しやすくなります。
これにより育成負担が劇的に軽減できます。

社内大学のカリキュラムはどのような順番で教えていくと、社員の理解は深まりますか?
部署ごと、業務ごとで整理し、カリキュラムを行う順番を決めましょう。

また部署ごと、業務ごとで整理した学びの順番をマインド・知識・技術と分けることで、学びの順番に変化が生じるかどうか考えてみましょう。

Step3まとめ

人の学びにはメカニズムが存在します。
そのメカニズムを参考に業務を整理すると、学びの順番がつけやすくなります。
学びの順番が出来ると、社員は自主的に学ぶシステムが作れ、学びに継続性が生まれます。

ここまでの取り組みが、社内大学のカリキュラムを決める作業です。

Step4:教え方を決める

社内大学のカリキュラムが決まりましたら、教え方を決めていきます。
教え方によってはカリキュラムの内容が変わることもあります。
教える方法は3つあります

自主学習で覚えること

主にマインド・知識的な要素は自己学習で覚えることができます。
例えば、商品名や価格、社内で使う用語や社内でルーティン的に行う作業内容など。
「発生的認識論」を引用すると仕事を覚える段階の1(基礎を学ぶ段階)と2(学びを醸成する段階)に該当する部分です。

参考になる資料や動画があれば、指導者がいなくても覚えることができます。
業務の難易度に応じて、マニュアルで確認することなのか、動画で学ぶことなのか覚え方を決めていきましょう。
01組織クラウドを利用して学習させるのであれば、用語集・事例集・ワークフローなど機能名で整理するのも良いでしょう。

指導をする

「発生的認識論」を引用すると仕事を覚える段階の2(学びを醸成する段階)・3(学びを活用する段階)に該当する部分です。

例えば、電話応対や来客対応など動画での接客やマニュアルを見ても理解できないことがあります。
エステや施術など、技術を使う業務も人の指導が必要になるでしょう。
お客様に接する前に、社内練習として先輩の指導を受ける「OJT」に該当するものはどの業務なのかを整理します。
この指導内容は出来る限り録画し、今後の教材として使えるようにすると良いでしょう。

実践する

「発生的認識論」を引用すると仕事を覚える段階の4(学びを応用する段階)に該当する部分です。
OJTが終わったのであれば、あとは自分で考えながら業務に取り組み、自分自身で経験を高めていきます。
ただ、このようなことは学習する社員自身では出来ないことがあります。
例えば会社の風土として、先輩を差し置いて自分が仕事をすることを躊躇われるようなことがあります。
これでは、せっかくの学びを活かすことができません。
実践して学ぶには社内の環境整備が必要になります。
経営者や管理職が環境を整え、学んだことを実践できる風土を作り社員自らスキルアップが出来るように機会を作りましょう。

あなたの会社の業務はどの部分が自主学習で学べ、指導で学び、実践でスキルアップができることでしょうか。
このような整理を行うと、実は指導者を伴い教える部分は意外と少ないことが分かります。

教えること=指導者(人材)がするという固定概念を払拭し、指導者がいなくても学べる方法を考えていくことも大切です。

どのような教え方を用いると、社員の成長が短期間で最大限に発揮できるかを考えていきます。
「教えること」 = 「社員を動かすこと」です。
社員を動かし経験を高める教え方を考えていきましょう。

Step4まとめ

教え方を考える際、社員自身が取り組むことをベースに考えます。
社員自身が自分で考え行動し経験をしていかなければ、社員のスキルは高まりません。

日々の業務だけでこのようなことができればよいのですが、日々の業務量だけでは社員のスキルアップにまで至らない事もあります。
社内大学でこの不足している社員の経験を高めるような学びを作っていくことが可能になります。

教えること=社員を動かすこと = 社員のスキルアップに繋がります。

3つの教え方の特徴を考えながら、社員を動かし経験が高まるカリキュラムを考えていきましょう。

Step5:育成計画を作成する

Step1〜Step4まで取り組み、カリキュラム内容が決まったら経営計画に沿って、社内大学の実施時期を決めます。

小さな会社は人材を育成する時期を決めずに、思いついたその瞬間に指導をすることが多いです。
教えることに関連性が生じず、教わる社員も中々学びが成果に繋がりません。

それゆえ、いつも慌ただしく、いつも人を育成しているような状況に陥ります。

人を育成するには計画が必要不可欠です。
社内大学の実施する時期は年間で計画をしておきます。
ではどのように計画をするのか確認していきましょう。

経営計画に沿った育成スケジュールを作る

仕事を覚える順番が整理できたのであれば、簡単な仕事から徐々に経験が高まるように育成のスケジュールを作成していきます。

ただ、経営計画を参考に実施時期は熟考しましょう。
例えば、行政書士の仕事は、年末年始や年度末に行政に提出する書類の作成が多く忙しいとします。
多くの経営者は、この時期に新人を入れ育成しながら仕事を覚えさせようとします。
ですが、普段以上に忙しい時期に、自分の時間を削り人にものを教えるのはストレスでしかありません。

望ましいのは、この繁忙期に0.5人前くらいの稼働が出来るようになっていることですよね。

この様な場合の育成計画例は次のようになります。

7月:新人を採用し入社
8月~9月:自主学習をする
仕事を覚える段階の1(基礎を学ぶ段階)・2(学びを醸成する段階)に該当する業務を優先的に取り組ませる
10月~11月:指導する
仕事を覚える段階の2(学びを醸成する段階)・3(学びを活用する段階)に該当する業務を優先的に取り組ませる
12月上旬:実践する
仕事を覚える段階の4(学びを応用する段階)に該当する業務を優先的に取り組ませる

というように、繁忙期で活躍できるようなスケジュールで学習を進めていきます。
これだけでも、繁忙期の作業効率は格段に高まります。

人材育成の計画は経営計画を参考に年間スケジュールとして決めておきます。

あなたの会社の経営計画を参考に人材育成の年間スケジュールを決めましょう。

講師の選び方

社内大学の講師は、基本社員が行います。
一般的には古参社員の方が講師になることが多いでしょう。
しかし、未来に向けた学びの場合、必ずしも古参社員の方が詳しいとは限りません。
例えば、スマホアプリの使い方を学ぶのであれば、入社半年の20代社員が詳しいかも知れません。

社歴や過去の経験値だけでなく、趣味などの部分で詳しい人がいた場合、その方が適任でしょう。

ただ、日ごろの社内の関係性から、いきなり若手が講師になることがためらわれるのであればやはり風土(環境)を整える必要があります。

例えば、全社員が持ち回りで講師を行うとか、社歴を問わず講師を担当させる基準を作ると良いでしょう。

個人的には若手の社員に講師を担当させることをお勧めします。
若手に講師を担当させることで、講習以外でも上司との会話が増え、社内の意見交換がスムーズに行えるようになります。
人に教えることは、最も学びが深くなります。
講師に選ばれた人は、授業の事前準備として資料を作成したり、説明の練習をするかもしれません。
このことが社員のスキルを更に高めます。
会社によっては、今まで全く業務に関わっていない人に、勉強させることを目的に意図的に異なる業務内容の講師を担当させることがあります。
それだけ、人に教えることは学びが深まるのです。

この様に学が深まる講師をどのように選んでいくのか選び方を決めておきます。

もし、社内で行っていない専門的な内容を学ぶ場合は、取引先や社員の友人・知人に講師を依頼しても良いでしょう。
外部の講師を検討するための基準も決めておきましょう。
講師は社内大学のカリキュラムが決まり次第すぐに選択を行います。
年間で講師を決め、講師になる人にも心の準備をさせてきましょう。

これまで考えてきた社内大学のカリキュラムは、誰に担当させると良いですか?
講師は最も学びが深まる役割です。
仕事ができる、よく知っているという選択肢以外に、どのような基準で講師を選ぶのか予め考えておきましょう。

Step5まとめ

育成のスケジュールは経営計画に沿って年間スケジュールとして作成しておきます。
そのスケジュールは学びのメカニズムを参考に段階的に取り組めるようにします。
社内大学の講師は最も学びが深まる役割です。社内大学のカリキュラムが決まりましたら担当する講師も年間で決めておきましょう。
その際、繁忙期などの業務の状況を考慮して決めていきましょう。
専門的な内容であり、業務で行っていない内容であれば、取引先や社員の友人・知人を講師にしても良いでしょう。
実施時期や講師選びについても予めルールを作っておきましょう。