主体性のある人材とは?アラインメントと主体性のバランスについて

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中小企業にとって、人材は特に大切です。

「主体性のある人材が欲しい!」とはよく言いますが、実際に主体性とは具体的にどういうことか、説明できますでしょうか?

実際、主体性のある人材は、全ての会社にとっての「人財」となりうるのでしょうか?

自主性と主体性

似たような意味で、自主性があります。こちらもよく聞きますが、意味が少し違ってきます。
英語にするとわかりやすいです。

自主性→independence:独立, 自立
自分以外の助けなしで、または支配を受けずに、自分の力で物事をやっていくこと。
主体性→autonomy:自律性
自己の行動を外部より拘束されず、みずから課した原理によって決定すること。

少し崩した言い方をすると、
自主性とは、上司から都度指示されなくても自ら動けることで、独り立ちすることを言います。
一方主体性とは、何をすべきなのかを自ら考え、行動することを言います。

例えば

自主性
会社の前期目標が2,000万円として
Aさんの目標は100万円の売上で会社に貢献することです。上司であるあなたは、休眠顧客の掘り起こしのために、毎週火曜日にメルマガの送付と、新規顧客獲得のために週3回以上はビジネス交流会に参加するよう指示しました。
次の日から、Aさんはあなたの指示なしに、メルマガの送付や交流会に参加しています。
主体性
会社の前期目標が2,000万円として
Aさんの目標は100万円の売上で会社に貢献することです。
Aさんは目標を達成するために、
・休眠顧客の掘り起こしのために、毎週火曜日にメルマガを送付する
・新規顧客獲得のために週3回以上はビジネス交流会に参加する
という2つの目標を立て、次の日から実施しています。

つまり、自主性のある人というのは、課せられた目標に対して自ら行動を起こせる人で、主体性のある人というのは、ある課題に対して自分で目標を立て、行動を起こす人を言います。

一般的に中小企業はリソースが少ない上に、人材不足であることが多いです。
いちいち指示するよりも、自分で考えて動いてくれる従業員がいるとありがたいですよね。

ただ、主体性を重視しすぎるのも問題です。

アラインメントと主体性のバランス

アラインメントとは、直訳すると整列・調整のことを言いますが、ビジネスにおいては
会社としての統一性」という意味を持ちます。

一般的に「ホイールアラインメント」という言葉で用いられることが多く、
意味は自動車の前輪または後輪の取り付け具合を調整することです。この調整で走行時の安定性やタイヤの摩耗の状態が変わります。

ビジネスに置き換えると、従業員の考え方や物事の方向を合わせて強い協力体制を作り、会社全体でのパフォーマンスの向上につながるように、従業員の貢献度を最適化することを意味します。

アラインメントを疎かにし、従業員に任せすぎると、

  • 社長と従業員の関係性の悪化
  • 離職率が高まる
  • 組織として成長せず、いつまでも会社の規模が小さいまま

などの問題が発生してしまいます。

方向性がバラバラになってしまい、組織としてどこに向かっているのかが不明瞭になっているからです。

問題が発生する原因についてもう少し細かく説明します。

社長と従業員の関係性の悪化

組織としてどうあるべきかの基準や考え方を明示せずに、中途半端に従業員に主体性を求めると、社長に対する信頼性を失ってしまいます。

例えば、友人と夕食に行くとします。
「お店はなんでもいいよ!任せる!」と言われたので、あなたは場所や値段を考慮し、色々調査して1件のイタリアンレストランを選びました。
すると友人は、「イタリアンは苦手だから近所の居酒屋でいいよ」と言ってきました。

『結構時間かけて選んだのにな….だったら最初からジャンルだけでも教えてよ!』

これは会社でも同じです。
会社としての方向性や、最低限のルールすら明示せずに従業員に任せ、最終的に社長が全部決めるとなるとどうでしょう。

あたりまえに社長と従業員の信頼関係が崩れますし、どうせちゃぶ台返しにあうならとモチベーションも下がってしまいます。

離職率が高まる

従業員に好きなようにやらせていると、離職率が高まっていきます。
好きなことをするなら、もっと良い条件の会社に移動したり、または自分で起業もできますし、会社への貢献する気持ちの度合いも低いので、今の会社にいる理由がないと思ってしまうからです。

組織として成長せず、いつまでも会社の規模が小さいまま

主体性を重んじるのは良いことですが、行き過ぎると個人商店の集まりになってしまいます。
組織として成長するには、従業員全員が同じ方向を向いている必要があります。
方向がバラバラだとエネルギーが分散し、従業員一人一人はビジネスマンとして成長するかもしれませんが、会社としての成長はせず、ずっと小さいままになってしまいます。

さらには、会社の成長のためにと従業員を叱咤激励しようにも、会社の方針として主体性を重んじると言ってしまっているので、なかなか社長自身も強く言えなくなってしまいます。

組織力と主体性のバランス

組織力と主体性には、バランスが必要です。

4つのマトリクスで説明いたします。

1.アラインメントと主体性が両方低い
組織も従業員自身も、何をしたらいいかわからない状態。

2.アラインメントが低く、主体性が高い
傭兵の集まりのような、一人一人の能力は高いが、まとまり・規律のない組織になってしまう。

3. アラインメントが高く、主体性が低い
官僚主義的コントロール。
効率性の面では効果的ですが、組織が凝り固まってしまい、柔軟性を失いやすいデメリットがある。

4. アラインメントと主体性の両方が高い
会社が目指すべき場所と、従業員のベクトルが同じ方向を向いている。
→これが理想系です。

会社の組織化と従業員の主体性を育てる方法

会社の組織化・従業員の主体性を育てるには、「見える化」「仕組み化」が重要です。

経営計画書の作成

経営者の仕事は人を通じて大きなことをなすことです。
人を動かすということに対して、「そもそも、なぜ会社のために働くのか」という理由づけは必ず必要です。
経営計画書できちんと社長の考えや会社の進む道を言語化し、従業員に共有しましょう。

情報を共有する

主体的に動くということは、自分で目標を決めて動くわけですから、その業務一つ一つの責任者であり、一番情報を持っている人というわけです。
社内にて情報を共有するシステムがなければ、その人ばかりに情報が集まってしまいます。
これが俗にいう「属人化」な訳ですが、もしその従業員が急な病気で長期休暇をとったり、辞めてしまえば、会社にとっては大きな損失となりますよね。
全てオープンにしろとまでは言いませんが、会社の情報はなるべく従業員同士で共有できるようにしましょう。

小さな会社のナレッジマネジメント 会社のノウハウを属人化させない取り組みとは

期待値を伝える

自主性を育てるために最も大切なのが、「会社が期待していること」をきちんと伝えることです。

期待される=自分はこの会社に必要な人材だと思えるので、会社の期待に応えようと自ら考え行動するようになります。

権限の範囲を決めておく

主体性があっても、いち従業員な訳ですから、何でも勝手に決めていいわけではありません。
逆に、制限がないと従業員も不安になってしまいます。

「ここまでは自由にしてください。ここからは上司に確認をとってください。」

などのように、権限の範囲を決めておきましょう。

業務によって意思決定の方法を変える

主体性のある従業員が集まる会社では、彼らが一番情報を持っているので、ボトムアップで意思決定をすることが多いかと思います。
ですが、すべてをボトムアップにすれば良いというわけではありません。
たとえば

コンビニA
「商品の配置やキャンペーンなどは自由に決めて良いが、販売する商品や営業方針は本部が決める」

などのように、トップダウンで意思決定するべきことはきちんと決めておきましょう。

評価制度を見直す

社員に求める姿や望ましい行動を整理し定義付け(ルール化)した評価の方針書を作成しましょう。

新入社員のAさんとBさんを例に考えてみます。

Aさん:4月に入社したとき、業界用語も会社のことも何もわからない状況だったが、仕事を通して業界用語や会社のルールも理解し、お客様の接客も任される状況になった。
Bさん:入社前から業界でインターンをしていたので、多少の業界用語はわかる状態。覚えも早かったので、入社直後からお客様の接客をしていた。

これだけで見るとBさんの方が評価が高い気がしますが、評価制度がないと「二人とも頑張っているね」で終わってしまいます。

Bさんにとっては、なぜAさんと同じ評価なのか?と不満に思うかもしれません。

・学卒新人は1か月以内に社内のルールを覚える
・学卒新人は、2か月以内に業界用語を覚える
・学卒新人は3か月以内で、顧客応対を行い接客30分以内に5,000円以上の販売を行う

のように、会社にとって望ましい社員の成長について定義・評価をすれば、
従業員は自己の成長のために主体的に動くようになります。

優先事項を決める

意思決定において、従業員は以下の3つの間で揺れ動きます。

自分の都合
会社の都合
顧客の都合

従業員に主体性を求めるのは、会社の成長のためです。
そして、会社の存在理由は「お客様を喜ばせること」にあります。

なので、会社として仕事の優先度や意思決定において、一番重要なのは「顧客」ということをしっかりと明示し、そう動けるような社内文化を作っていく必要があります。

組織化には社内ルールが重要!作り方や注意点を徹底解説

変化を許容する

社長と従業員は経験値が全く違うので、従業員から何かアイデアをもらったとしても
求めているレベルよりも低かったり、あるいは自分では思いも寄らない画期的なものに出会ったります。

その時に、アイデアを突っぱねて結果社長が全て決めるか、一度受け入れるかが、従業員の主体性に大きく関わってきます。

「最終の決断は社長が決定する」などと、意見と決断の線引きを決めておくことが大切です。
さらには社長自身、従業員の意見を素直に受け止める=変化を許容することも大事です。

個人を尊重する

従業員は組織の一員である前に、一人の人間です。
三者三様の意見がありますし、考え方や感じ方も違います。

期待してるよ!とか、任せるよ!と言われてやる気が出る人もいれば、
プレッシャーでしんどくなってしまう人もいます。

まずは従業員もとい、人として接し、ひとりひとり伝え方や対応を変えられると良いでしょう。

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今回は、組織と従業員の主体性のバランスについてお話ししました。
主体的な従業員がいるだけでは、傭兵の集まりとなってしまい、チームとして機能しません。
まずは「見える化」「仕組み化」でアラインメントを高め、同時に従業員の主体性も高めていきましょう。

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